回復期リハビリテーション病棟のご案内
回復期病棟とは
回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの病気で急性期を脱しても、まだ医学的・社会的・心理的サポートが必要な方に対して、多くの専門職がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で地域社会へ戻って頂くことを目的とした病棟です(一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会HPを改変)。
当院では2012年6月から回復期リハビリテーション入院料1を取得しており、約8割の方が自宅に退院されています。(2021年3月末でのリハビリテーションの効果に係わる実績の指数が46.0ポイント、在宅復帰率80.0%)。
現在看護師17人、介護福祉士(看護補助含む)9人、理学療法士18人、作業療法士10人、言語聴覚士5人、医療ソーシャルワーカー1人、管理栄養士1人を揃え、365日体制で、平日・休日とも変わらないリハビリテーションを提供しています。当院回復期リハビリテーション病棟の1日の平均的なリハビリテーション提供時間は2.3時間となっています
(2020年度の平均では脳血管疾患:2.8時間、運動器疾患・廃用症候群:1.8時間)。
2021年3月31日時点
当院の回復期病棟の取り組み
① 合同評価について
入棟された日に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師の多職種が合同で、心身機能・日常生活動作の状態を評価しています。実際にご本人と動作を確認することで、アクシデントを予防し、適切なケアの方法を共有します。共有した情報は日常生活動作表に記入し、病室へ掲示することで病棟スタッフ全員が把握できるようにしています。
② カンファレンスについて
入棟から1週間を目処にカンファレンスを実施しています。そこでは、元々の日常生活動作の確認、ご本人・ご家族が考えている退院先、退院後の生活のイメージ、リスク管理を共有するようにしています。
その後の定期カンファレンスでは、主治医、看護師、セラピスト、管理栄養士、社会福祉士が退院に向けての取り組みを報告し、今後の方針の確認を行っています。
③ 自主トレーニングについて
可能な方にはリハビリ以外の時間でも病棟でできる自主トレーニングを提供しており、ベッドの上で寝て過ごす時間を減らすように努めています。
④ 屋外歩行訓練について
退院後に公共交通機関を利用する、または屋外で散歩をすることがある方においては、敷地外への屋外歩行練習を実施しています。敷地外への歩行練習では独自の屋外歩行マニュアルを作成して実施しています。特に夏季の時期では熱中症のリスクがあるため、事前にWBGT(暑さ指数)を確認し屋外歩行が可能か判断しています。
屋外歩行の様子
屋外歩行時に緊急時対応グッズを持参
⑤ 家族指導について
退院後にご家族の介助が必要な場合では、入院中より介助方法を指導させて頂いています。来院の際に看護師やセラピスト、管理栄養士と共に介助練習や栄養指導を受けて頂いています。
注入食指導の様子
車椅子介助指導の様子
栄養指導の様子
⑥家屋調査について
自宅の改修等が必要な方においては、ご本人と共にセラピストがお宅に伺い、家屋調査を実施しています。その調査結果を踏まえて、必要なリハビリテーションの提供、住宅環境やサービス等の提案を行っています(過去の実績としては、北は和歌山市内、南は新宮市まで)。
現在は新型コロナウィルス感染症の影響もあり、以前よりも対象患者様を厳選して対応していますが、必要な方について下記の対策を講じながら家屋調査を実施しています(2020年7月15日現在)。
- 患者および患者家族の体調確認を行う。
- マスクを着用する。
- アルコール手指消毒液を携帯する(手指衛生を徹底)。
- ソーシャルディスタンスをしっかりとる。
- 物品を持って行く場合は前後に医療用除菌クロスで清拭する。
- 可能な限り手短に行う。
- 同席者の所属氏名を記録し、接触した相手が確認できるようにする。
【理学療法】
脳血管疾患の方には、必要に応じて医師の指示のもと装具を作成し、立位や歩行練習を行っています。重症な方においては、必要であれば複数の理学療法士で介入し離床を図ることがあります。早期から離床を図ることで、身体機能の改善だけでなく、廃用や誤嚥性肺炎等の合併症予防にもつながっています。
長下肢装具装着から介助で歩行訓練を行っている様子です。
【作業療法】
作業療法では生活動作の再獲得を目的としています。身体を動かし生活動作が行なえるよう、電気刺激や腕を吊るす道具など様々な器具を用います。そして、生活動作を直接練習し、困難な動作には動作方法を変える、道具を用いるなど、様々なやり方を提案します。また、自動車運転の再開支援や、家事など個人の生活に応じた取り組みをしています。
作業療法の一場面です。
腕を吊るして重量を軽くする器具や電気刺激を使用しています。
生活動作の練習の場面と、運転支援の紹介です。
【言語聴覚療法】
言葉を理解する・話す・字を読む・書くことが難しくなる失語症や口や舌の麻痺のために喋りづらくなる構音障害、食べ物が飲み込みづらくなる嚥下障害、注意力や記憶力が低下する高次脳機能障害などの症状に合わせて訓練を行います。回復期病棟では言語障害が中心の方に対して1日1時間以上の言語聴覚療法を提供できるように努めています。
失語症訓練の様子です。
単語の理解力・呼称・音読訓練を行っています